〜100カ国160,000km世界一周7年間の自転車旅〜
小口 良平レポート
2012/9/23
走行場所: ソマリランド〜ジブチ〜エチオピア 首都シュトアディスアベバ
『プチアドベンチャー』
 現在、エチオピアの首都アディスアベバにいます。
標高2500mにあるアディスアベバは、アフリカにあっても朝晩は凍えるよう
な寒さの日もあります。
そして今は大雨期。
太陽のありがたさをひしひしと感じます。
ジメジメした雨期では、宿のベットも南京虫だらけです。
彼らは新しい血を好むようで、着々と私の体を蝕んでいき、冗談抜きで300箇
所以上、体中に痕跡を残していきました。       大雨期のエチオピア
 体調管理も今まで以上に気を配っています。
ただ1つ、標高の高さゆえにマラリアの被害は少ないようです。
しかしこれから南下するケニア以南は、マラリアの被害が増えます。
マラリアだけに限らず、チフス、コレラ、デング熱等、横文字ばかりの致死率の
高いウィルスが蔓延しています。
先月のウガンダでは殺人ウィルス、エボラ出血熱で大量の人が羅患し、亡くなっ
ています。
これらのリスクを少しでも軽減するために、先日は髄膜炎の予防接種を受けてき  暴れん坊の南京虫(エチオピア)
ました。
今まで走ってきたオセアニア、アジア、ヨーロッパ、中東とは、こんな部分でも
旅レベルが上がってきました。
 さて、エチオピアに着いたのは先月です。
今まで南下し南アフリカを目指しておりましたが、一度東に進路を取り、ソマリ
ランド、ジブチを走りました。
 ソマリランド、ジブチはイスラム圏。
ちょうど今年のラマダン(断食)にぶつかりました。
去年体験した厳粛なイランのラマダンとは違い、こっそり家で食べている人々も        エチオピアkidsと追いかけっこ
見ました。
さすがに気温40℃を越えるこの地域のラマダンは、生命さえも左右する危険な
ものなんだと実感しました。
しかし、そんなユルいラマダンにも関わらず、他人はユルせないようで、厳しい
イスラムの人々もいました。
コーランには、「旅人、妊婦、子供、病気中のものはラマダンは適用外!」と
なっているのにも限らず、旅行者である私にも強要してきました。
40℃の中、水も食料も摂取できなくなれば、ガス欠のポンコツ車と一緒です。
ハンガーノックで何度もダウンしました。        あちょ〜(エチオピア)
これもアフリカを旅する、イスラムを旅する、世界を旅しているんだと、改めて
教えられました。
すべてが貴重な体験です。
アフリカで起こることで無駄なことは1つもありません。
 国連に国として認められていないソマリランド。
そんな国は旅において、まだまだ未開拓な場所がいっぱいです。
特に自転車乗りにとっては、未開拓な新ルートがあります。
今回私が走ったルートは、私だけが歩んだ轍です。      エチオピアの山脈風景
その興奮は私が求めていたプチアドベンチャーです。
「赤茶けた灼熱の大地と道なき冷情な砂漠」
ここで1つ、私が日本にいた頃から空想した憧れのアフリカがそこにありました。
こんなときにこそ、自転車に乗っていて良かったと心から全てのものに感謝出来
ました。
 日本の自衛隊が初基地を置いたジブチ。
ここにも未開拓な場所がいっぱいでした。
今回はTime Outで、後ろ髪をめいいっぱい引かれて、ジブチをあとにしました。         エチオピアの民
ただでさえ世界中に残してきた私の心。
それを深く心に残してくれたのがジブチでした。
次回の旅は、そんな世界中の心残りを巡る旅もいいかなと思います。
一生かかっても終りそうもないですが・・・。
それこそ「終わりなき旅」ですね。
 
 長々書きましたが、話はエチオピアに戻ります。
ここからは私のブログを引用させて頂きます。
 アフリカ有数の難関ルート、エチオピア・首都アディスアべべ〜ケニア・首都
ナイロビ間にある、トルカナ湖付近の国境越え。   どこまでも水を求めて(エチオピア)
エチオピア側からの出国ゲートはあるものの、ケニア側の入国ゲートは300km
走った先にしかない、いわゆる非公式国境。
エチオピア南部は多くの山脈越えがあり、道はもちろんダート。
そしてケニア側に入国すると、無補給砂漠地帯が広がる。
未だかつてここを自転車で抜けたものを、一人しかボクは知らない。
「死」
今までで走ったルートの中で、この言葉に一番近いルートかもしれない。
ボクは尊敬する同期チャリダーから名前を拝借し、そこを「シノミヤルート」と
呼ぶ。
 エチオピア人とブレーメンの音楽隊
 今回、ボクはベタールートの「モヤレ国境ルート」を外した。
こちらは治安の悪さから、ケニア側入国と同時にバス移動となる。
自転車で旅する者の多くが抱く理想
「陸路国境越え」
「モヤレ国境ルート」とでは陸路越えが出来ない。
 公共機関を使わずに、自分の力で大陸を越える者達がいる。
人はその者達を「OVER LANDER」と呼ぶ。
ボクは今回、「チャリダー」から「OVER LANDER」へと成長する。
実のところ、アフリカに入ってからボクが抱いていたアフリカにまだ出会ってい
ないことに気づいた。 プチアドベンチャー開始(ソマリランド)
「弱肉強食の大自然で生きる動物」
「過酷な環境で生き抜くために歴史的変化を遂げてきた植物」
「赤茶けた灼熱の大地と道なき冷情な砂漠」
そこに生きる「真っ黒な体躯の半裸民族」
彼らが起こした「腐政に民族浄化」
そしてエゴがもたらした「資源搾取による環境破壊」
辿りついた先は「飽食と貧富の差」
アフリカにはどこにでも貧困があり飢餓がある。
それゆえ争いが起こり略奪が始まる。    僕だけの新ルート(ソマリランド)
果てに暴力が死を呼ぶ。
確かにこれらを目の当たりにした場面はある。
だが、もっともっとこれらの現実を目の前にしたい。
自転車旅ならこれらがより目の前にできると思ったから、ボクは今も自転車に
乗っている。
これらを100%体験したいとは言わない。
しかしせめて10%は体現したい。
 なんやかんや屁理屈をこねた。
つまるところ正直に言えば、「やりたいようにやる」だけだ。
心のままにプチアドベンチャーがしたくなった。
だからやる。
かつての良きチャリ友「四宮」氏が、チベットでボクの幻像の背中を追いかけた
ように、今度はボクが彼の背中を追いかける番だ。    冷酷無情の砂漠(ソマリランド)
「OVER LANDER」なんてカッコ良く言ったけど、「チャリダー」の意地があるだ
けかもしれない。
ただの負けず嫌い。
チャリダーって奴は本当にめんどくさいよね。
 ボクは「旅人」であっても「冒険家」じゃない。
それだけを忘れずにプチアドベンチャーをしてこよう。
情報を集めて細かくルートチェックした。
日本大使館にもスケジュールを提出した。
やれるだけのことはやった。      アフリカの海(ジブチ)
あとはペダルを回すだけ。
 さーあの彼女に会いに行こう。
そう、ボクはただあの女神を一目見たいだけなんだ・・・。         
 これが今のボクの想いです。
心のままにペダルを回します。
「夢はでっかく 想いは近く!月まで走ろう☆彡」
 ケニアのナイロビには11月5日到着予定です。
到着しだい、無事にプチアドベンチャーの成功をご報告したいと思います。      彼女に会いたくて(エチオピア)
小口オグチ 良平リョウヘイ