ロードバイクの楽しさ

Pearl Izumi(以下PI):みなさんはロードバイクは、どういった経緯で乗り始めたのでしょうか。
小木曽:私はもともとクロスバイクに乗っていたのですが、あるタイミングでロードバイクに乗り換えました。ロードバイクに乗ってみたら、スピード感が違うためやっぱり景色も変わるし、遠くまで行くことができることに魅了されました。その後、何気ない会話の中からアウディジャパンの中でも、色々な人がロードバイクに乗っているということを知りました。

PI:確かに会社の同僚と会話していると、「ヨガやってるよ」とか、「東京マラソンにでたよ」とか話に上がりますよね。「ロードバイク乗ってる」って誰かに言われると、「え?ロードバイク乗ってるの」といった感じで、ちょっと盛り上がりますよね。

小木曽:そういった盛り上がりはありました。私もロードバイクは一生の趣味にしたいと思っているので、今後もじっくりと乗っていきたいと考えています。

PI:小木曽さんは普段、どこでロードバイクを乗っているのですか。

小木曽:神奈川県の鶴見川です。川沿いの道で、ロードバイクを乗るにはある程度整備されている道路があるんです。多摩川サイクリングロードと違って、少し狭く騒々しいのですが、土日に乗りに出かけています。

サイクル アウディジャパンチーム
(左から、神富さん、小木曽さん、Bandszusさん、初村さん、山本さん)

PI:山本さんがロードバイクを始めたきっかけを教えてください。

山本:私はロードバイクを始めたのは1年程前です。以前は海外旅行とか、登山が好きだったんです。登山をするために、ジムに行ったりとか、走ったりして体力もつけていたのですが、子どもが生まれてから全くそういったことができなくなったんです。日々、運動する機会がなくなって、自分の中でなにか物足りなさを感じていたんです。そんな中、たまたま近くにサイクリングロードがあり、自転車だったら自宅からすぐに乗り出して戻ってこれるので、今の状況でも体を動かす機会が持てると思い、ロードバイクに乗り始めました。今では週末は、子どもが起きる前の朝5時位から乗っています。

PI:朝の5時頃から走っている方、その地域にはいらっしゃいますか?

山本:はい、サイクリングロードですし誰かしら乗っています。夏の5時だと明るくなってきているので、ロードバイクを楽しむのに不便はないですし、帰ってくると朝ご飯がちょうどできていて、それもありがたいところです(笑)。

自分らしく楽しむために

PI:車も近しいところがあると思うのですが、ロードバイクは、物としての魅力に共感する方もいらっしゃると思います。一方でちょっと紋切りな見方ですけれど、女性の場合は物に対する興味というより、健康とか美容といった見方もあるかなと思います。

初村:そうかもしれません。山本さんはどう思いますか?

山本:たしかに男性は一般的に言うと車が好きで、メカに詳しいということもあります。アウディは部品とか機能には、とてつもないこだわりを持ってるのは間違いありません。そういう点から言えば、自転車にはフレームがあって、さまざまなパーツが組み合わされてる。そのパーツの特徴によって、色々な組み合わせがあり、セッティングができる。そういった面白さは、車にも自転車にもあります。それに自転車のほうが、パーツを変えた後の変化がわかりやすいです。私は詳しい方ではないのですが、パーツを変えることに対する恩恵をすぐ実感しやすいのが自転車の面白さかなと、車好きの私はそう思います。

サイクル アウディジャパン

小木曽:確かに自転車のパーツ類は、例えばサドルを変えると、感じ方はすごく変わりますよね。

山本:タイヤもそうですよね。

PI:そういうところは面白いですね。ただやっぱり男性と女性だと関心の対象が違いますよね。

初村:分かります。その世界観があるというのは(笑)。
まだ私は買ったままの状態でパーツは変えていないです。パーツを交換して、変わったことを体感すれば、その世界にも踏み込んでいくんでしょうね。

PI:パールイズミの社内でも好きな人は、どんどんパーツ交換してグレードアップしてますね。初村さんはどのメーカーのバイクをお持ちですか?

初村:私はチネリです。実は私、もともとファッション業界にずっといたこともあって、みんなが乗ってるものは絶対に買いたいと思わないんです。そのあたりは、こだわりが強いです。バイクのパーツではないですが、ウェアとかグローブにしても、ロードバイクの車体の色とどう合わせるのかについて、すごく考えます。私のバイクはボディーは白で、チネリのロゴに黒と赤が使われています。その赤も、オレンジ気味ではなく、濃い赤なんです。ウェアがオレンジに近い赤では、かっこ良くないと思うんですよね。自動車の楽しみ方とはちょっと違う側面ですね。車でも、自転車でも、自分自身がそれらとどう付き合うのかということも考えてみたことがあります。感じ方のことですが、車で走行していると、風などの自然を直に感じることはありません。自転車の場合は、いろんなものが間近に見えたり、花の匂いとかも香ってくる、四季折々を感じることができる。その土地の違いがわかってくるんですよね。海外はもっと素晴らしいんだろうなと想像します。

山本:海外でも走ったことあるのですか?

初村:海外はまだなくて、これからチャレンジできたらと思っています。ロードバイクを始めたきっかけが、友人がロードバイクを乗っていたことなんです。その友人はローマから走り出して、フィレンチェ、更にはプラハまで1日100km以上走っていくということをやっていて、その話を聞いています。結構スパルタ系の走りです。私も乗り始めた頃、奥多摩のヒルクライムに一緒に行くことになったのですが待ち合わせが現地集合だったんです。

山本:本当?

初村:輪行も初めてやったんです。自転車の解体とか。

山本:解体? あ、輪行のときのタイヤとか外すことね。

(一同笑い)

PI:奥多摩の方で、風とか花、そういった点はどうでした?

初村:はい、私はそのあたりが好きです。見たり感じることができるのが良いです。海だと潮風をちゃんと感じられる。細い道も入っていけるから、新たなお店を発見できることが自転車の魅力だと思います。

部活動運営とチームウェア

PI:アウディ社内でチームを作ったということで、ロードバイクに乗ってる人とどうやってつながって、部活動というチームづくりに至ったんでしょうか。

初村:弊社には公式に部活にできる仕組みがあり、5人集まれば部活にすることができます。部活動の前に2回ほど社内のメンバーで集まって、江戸川と荒川を走ったことがあったんです。その経験があり、せっかくだったらもう部活にしましょうということで、部を立ち上げました。

山本:部活になったことで、オフィシャルに会社のロゴが入ったユニフォームが作れるとか、会社から活動日の支援が出るとかっていう実利的な側面もあったりしますが、どちらかというと社内コミュニケーションを促進する役割があります。先日1泊2日でイベントに行きましたが、普段社内では会話しない人たちと一緒にお酒を飲んだり、一緒に苦しい坂を上ったり、くだらない話ができて横のつながりができるのはすごいメリットあるなと実感しました。この自転車部の目的として、あくまでも初心者、主体は初心者です。初心のレベルに合わせてイベントを組んでいきます。経験ある人たちに来てもらい、いろいろ教えてもらい、実践的なアドバイスをもらいます。そして、会社の中で自転車に乗る人を増やして一緒に楽しむのがこの自転車部の目的です。

サイクル アウディジャパン

PI:そうですよ。1人じゃできない、始められない、興味あるけどどうしようかなっていう人が、今お伺いした場所があると知れば、始められますよね。

山本:そういう目的があり、自転車部の部長には、親しみやすい初村になってもらいました。一方で部員の中には、トライアスロンやロードレースなどの大会に出る人もいます。

PI:弊社にもトライアスロンのチームがあって、今年の佐渡トライアスロンで女性社員がエイジグループで優勝しました。ロングディスタンスの日本代表選手を獲得しまして、2018年にデンマークで開催される世界大会に参加する予定です。練習メニューは状況やレベルに応じて変わってきます。

初村:そうですね。初心者が取り組みやすい環境を作るという点も、この部活では意識しています。それに部活動を通じて、なによりも業務のお願い事も、しやすくなるメリットもあります。

(一同笑い)

山本:確かに、お願いされてますね(笑)。

初村:私の場合、広報ですので、会社の中で全方位的に関わることが多いんです。仕事柄もありますが、部署間のコミュニケーションを図っていますので、自転車部の部長として役目を果たしていると思います。

サイクル アウディジャパン

PI:飲みに行って仲良くなるのと、ちょっと違うかなと思うんですよね。

小木曽:それは違いますね。達成した後の共有感とかそういうのは違います。

山本:どこに出かけるのかという、プランニングのところから始まります。そこから会話が始まって、参加している人となりがお互い伝わってきます。もちろんその後には、実際に一緒に走りに行くわけです。そんな体験を経ると、1-2時間飲みに行くのとは関わりの質が違ってきます。

PI:ウェアについてもお話きかせてください。今回、チームウェアを作った時にこだわったポイントをお願いします。

小木曽:デザインをいただいた際、初版でかなりいいデザインの提案を頂きました。それに、ロゴを大きく、黒をメインに、赤をもうちょっと強くしてほしいとか、いろいろな要望に応えていただきました。素材も、パールイズミの市販製品でいいところはわかっていましたので、そのクオリティーでチームカラーのウェアで作っていただけたのが嬉しかったですね。

初村:そうですね、色は重要ですね。白ベースだと春夏のイメージに寄ってしまうので、通期で着られるように、黒のほうが好ましいというような会話がありました。

山本:今年の富士山ロングライドでは、部活動のメンバーで新しいチームジャージを着用して出場しました。みんなアウディが好きだからだと思うのですが、アウディのデザインが入ったものを着て、大会に出られたことで満足度はより高かったです。

サイクル アウディジャパン

小木曽:その時の集合写真を見ると、同じユニホームを着用して写っているからか、すごく楽しい気持ちになります。

PI:パッドも自社で開発しています。Air Seriesには弊社のパッドの中でも最上位グレードの「3D NEO PLUS」が搭載されています。プロロードレーサーやお客様からいただいたフィードバックから、どのようなパッドが良いか研究開発し続けています。自社内にロードバイクを乗る社員が多数おりますので、開発したパッドも実際に使ってみてフィールドテストをしっかり行い、製品化へと進めています。どの位置にパッドを縫い付ければ、身体への負荷を減らすことができるかという細かい点も気をつけています。

アウディジャパン 自転車部のこれからの活動

初村:現在部員は9名ですが、これからはまだまだ人数を増やしていきたいです。

山本:来年は、春秋に季節を感じられるようなロングライドのイベントへの出場を考えています。ファンライド系のオリジナルイベントも考えています。

小木曽:来年、富士ロングライドに行くかは部員のメンバーにも聞いてみたいですね。

山本:あれはね、後半に上り坂がありましたからね。

小木曽:そこまで100キロくらいでしょうか、これぐらいだったら頑張れるって感じだったのが、最後の30キロはもう上り坂が…。

山本:それがいやらしいことにコーナーになっていて、先が見えないんですよ。やった、下りだ!と思ったらまた上り坂、本当にもう嫌になりそうでした。一方で上り坂を見て、イヤッホーイって加速していくのもいますからね、一体どうなってるのか。

サイクル アウディジャパン
初村:私達の自転車部は、ハードに乗りたいとか、ゆっくり乗りたいとか、それぞれを尊重して、楽しくやっていきたいと思っているんです。アウディが提示しているコンセプトに通ずるような活動を目指したいですね。アウディは今年の7月、Audi A8のワールドプレミアで”25時間目”というコンセプトを提示しました。人は自動車を1日平均して約50分運転しているというデータがあります。自動運転の技術によって、その拘束時間からドライバーを解放し、自由な時間を提供する、というコンセプトです。自転車は自然にダイレクトに触れるスポーツですし、歩くよりはるかに効率的に、かつ、人それぞれの楽しみ方で向き合うことができます。”25時間目”のコンセプトにも、どこか通じていると感じています。自動運転の技術を取り入れた先のライフスタイル提案は競合他社にはない、アウディ独自の強みと思っています。

PI:ただ技術のことを語るのではなく、人々のライフスタイルにどう技術が取り込まれるのかを考えられている点は、私達のものづくりにも通ずる部分がありそうです。本日はさまざまなお話を伺えてとても有意義でした。ありがとうございました。