ブランドとの出会い

OOFOS®︎を輸入、展開しているアルコインターナショナル株式会社は、ブランドビジネスを主な事業として運営している。取り扱っているブランド数は現在5つ。自社でデジストリビュートするブランドを決めるのは代表の降幡氏だ。

大西さん社長

元Reebok副社長が立ち上げたこのブランドは、開発メンバー全員がフットウエアのプロ。彼らには大手シューズブランドに所属していた頃にどうしても拭えないジレンマがあった。「売り上げのための商品開発ではなく、真にエンドユーザーが求めているものを商品化したい」そして創業者が60歳を過ぎた頃、残りの人生のすべての時間を注ぐ覚悟でブランドを立ち上げた。

砂浜や芝生の上を歩くときこそ、人の足の指は一番ナチュラルな動きをするという。地面を掴むために足の指を開く。踏み込んだ時にも足の指がしっかり開く。そういった本来の動きをシューズの上で表現することを目指し、開発に開発を重ねて出来上がったのがOOFOS®︎のリカバリーシューズだ。踵に受けた衝撃を足全体に分散させるつくり、クッション性の高い素材。非公開の情報も多い。USでは1700店舗を展開する大人気ブランドになっている。

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そんなOOFOS®︎との出会いは今から1年半前に遡る。グローバルでのファッション系の展示会で見かけて興味を持ったが、1年ほどしてから同社が扱うhydro flaskというボトルを扱いだしたことでスポーツシーンでのマーケットが拡がり、そのニーズを満たすブランドとして取り扱いを検討し始めた。これまでにも日本でOOFOS®︎を展開したいと考える複数の企業から、すでに本社に問い合わせがあったが、時期尚早だと日本での展開を見送っていた。ブランド設立から4年が経ち、いよいよヨーロッパ、アジア各国への展開に踏み切ろうとしていた絶好のタイミングで降幡氏は契約を結ぶことに成功する。

リカバリーシューズという概念を日本に浸透させたい

ブランドを発掘してから契約し取り扱いに至るまで、現在5つのブランドビジネスを成功させる経営者には一体どんな思考であり、判断基準を持っているのか。

「僕らの会社には4Fというコンセプトがあって、4つのFはFashion/Function/Fun/Futureです。その中でも一番念頭に置いているのは見た目がオシャレであるということのFashionと機能性のFunctionの2つのバランスが取れているかということ。これが50:50のバランスを持っている商品でないと、扱わないようにしています」

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「どちらかが秀でている商品は世界中にたくさんありますよね。それ以外にも、Funは商品を見たときに面白さや楽しさがイメージできるかどうか、Futureは今後のライフスタイル変革にマッチングするかどうかといった基準で見ています」

これまで取り扱いをやめたブランドも含めて、手がけた数は20ブランド以上。すべてのバイイングは降幡氏自ら行ってきたというが、当初4Fというコンセプトは車内には存在しなかった。4年ほど前、自分の中だけで考え単独で動いていた降幡氏に、社員から一つの要望があった。

「数あるブランドのバイイングにおけるコンセプトをまとめた企画書が欲しい。これがあれば、後継者や中途社員、新入社員にDNAとして受け継げる」。その言葉に共感し、メッセージとして発信するにおいて出来上がったコンセプトが4Fだった。この4Fがあることで、降幡氏自身もバイイングに迷いはなくなったという。

「実際にバイイングしている時って、海外という環境だったり日本との時差だったり、言語が英語だったりすることでいつもと同じ判断が下せるとは限らないと思うんです。実際日本で展開した時にどうなのか、と悩むこともあります。でもこのコンセプトがあることで明確な判断基準ができ、本当に良かったなと」

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「時に最後に決めたFであるFutureは、僕ではなくて社員が付け足してくれた。今思えばすごくありがたいと思っていて、扱えば売れる商品だけだと会社は成長しないと思うんです。お客さんにもFunを伝えられない。USでいくと西も東も全部見て、この先の未来に何があるのかを日本のマーケットに発信したい。常に新しいチャレンジをし続けるという意味で、とても思い入れがあります」

前述した4Fと共に、OOFOS®︎を取り扱うことを決めた決定的な理由が”商品のクオリティ”だ。「どれほどオシャレでコンセプトがハマっていても、良い商品でなければ絶対に売れない」と降幡氏は言う。そのため、生産背景は必ず自分の目で確かめる。必ず工場まで行き、原材料の段階から機械や人の手が加わりモノが出来上がり、ブランディングされるところまでのフェーズを知ることで、誰よりも説明ができ、誰よりも第三者の理解を深めさせることができる。

それがディストリビューターとして商品を扱ううえでは欠かせず、自分が良いと思うものでないと絶対に売れないと考える。そのうえで、どういった人にOOFOS®︎というブランドの魅力を届けたいか。

「基本的にはスポーツをする人をターゲットとしていて、たくさんのスポーツにおけるリカバリーに使っていただけます。メディカル的な要素も含まれているので、接骨院や整体院の方や、また、ファション系の方にも興味を持っていただいているのも事実。ただ、より気持ちいいと感じていただけるのは季節を問わずライフスタイルとしてスポーツを楽しんでいるスポーツ愛好家の皆さんだと思ってます。リカバリーグッズは筋膜リリースローラーやストレッチポールなどたくさんの商品が展開されていますが、リカバリーシューズに関してはまだ目を向けられておらず、元ReebokのOOFOS®︎創業者が,たくさんのトレーナーやアスリートとセッションを重ね、2年半という年月をかけて開発したんです」

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他ブランドでもリカバリーシューズを出していないわけではないが、シューズラインの1つとして1型のみのブランドが多く、完全にリカバリーに特化しているものではない。素材は企業秘密で一切公開していないが、ここまでリカバリーにフォーカスしているのは間違い無くOOFOS®︎だけであろう。

今後の展望とは

次に扱いたいと考えているのは、USのパフォーマンスウエアだ。「hydroflaskというボトルとOOFOS®︎というリカバリーシューズで、スポーツシーンに入り込んできた。次はその2つのブランドをつなぐウエアというカテゴリーに着手したい。しかし、ただのウエアではなく、スポーツするときも着られてタウンユースもでき、一番のメインはスポーツの後のリラックスというキーワードにフォーカスしたもの。着用するととにかく楽であること。着心地が最重要ポイントです」

さらに多くの海外ブランドがレディースにフォーカスしている中、目をつけているブランドは主にメンズをターゲットに商品展開、発信しており、日本国内にはない新しい価値観ではないだろうか。ブランドから発信する新しい未来、新しいライフスタイル。降幡氏の探究心が止まることなく、グローバルな視点で追い求め続ける。

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