メンバー全員が無事に完走

「全日本トライアスロン宮古島大会」の参加人数は1572人。スイム3km、バイク157km、ラン42.195km。合計202.195km、いわゆるロングディスタンスと言われる距離のトライアスロンである。

1572人の内、チームメンバーは6名。結果から言えば、全員が完走。宮古島トライアスロンを完走したアスリートに送られる称号「ストロングマン」になった。自然と闘う、それがトライアスロンのため、天候・気温などによって、厳しさが段違いに変わってくる。20時30分レース終了まで気温もそれほど高くならず、風も比較的穏やか。コンディション的には走りやすい状態だったと言えるだろう。

宮古島トライアスロン大会の挑戦記

しかし、だからといって宮古島は簡単なレースではない。多忙な仕事の合間をぬっての日々のトレーニング、当日までのコンディショニング、そして当日のレースマネジメント。そのすべてが噛み合わないと完走には至らない。

アンバサダーの大西勇輝さんは語る。
「完全にロングの洗礼を受けた形になりました。以前、アイアンマンレースに出場したことがあったんですが、それは10年以上も前の話。とはいえトレーニングもしっかりできて、自信をもって望んだレースだけに正直結果には満足していません」

大西さんはスイム、バイクの前半は想定を超える良いペースで入ったものの、バイク後半から次第に脚のトラブルと闘うことに。

「バイクの後半から脚がつりそうになって、それがラン入ったときには痛みに変わって。やはり150km以上バイクを乗った後のランニングは、そんなに甘くないと改めて感じました。
でもバイクの前半はすごく気持ち良かった。予報とは違って天気も良かったし、伊良部大橋も東平安名岬も、本当にきれいでした。ただ、ランに入って8kmくらいは走れたんだけどその後は・・・。でもチームで出ている以上、歩いてでも完走しようと思っていました。これまでの自分だったら歩いた時点でレースをやめていたかもしれない。でも同じウエアを着ているメンバーがいたから頑張れたと思います(大西さん)」

宮古島トライアスロン大会の挑戦記

Onジャパンの代表・駒田博紀さんも“チームが力をくれた”と語る。
「自分も“チーム”を意識しながら走っていました。ずっと応援しながらレースしている感覚ですかね。心の中でチームメイトのことを考えると、それが自分の力になってくるという。その時に自分はちゃんとチームの一員なんだなと実感しました。これまでは制限時間ギリギリでフィニッシュすることが多かったんだけど、フィニッシュラインでメンバーを迎えたい、という思いから早めにフィニッシュすることができました。チームが、自分自身の成長を促したのかもしれない」

チームの中で最初にフィニッシュラインを超え、年代別のトップという見事な成績も収めた巽朱央さん。
「団体行動が苦手で(笑)、チームというものに所属したことがなかった。でもレース中にメンバーとすれ違った時、姿を見ると安心するんですね。その時に、ああチームって良いなって。私、運動音痴だったんですよ。そういう私でも、自分の適性のある競技に巡り会って、頑張ればこういう結果が出せるんだってことは伝えたい」

宮古島トライアスロン大会の挑戦記

宮古島はバイク、ランともに、コースの各所に折り返しが設定されていて、選手同士がすれ違うシーンが多い。そのため、知り合い同士が声を掛け合って励まし合うシーンは、よく見られる光景なのだが、選手同士が同じウエアを着て、すれ違うことはさらに大きな力になったのだろう。

さて、選手としてではなく、サポートメンバーとしてチームに参加したアンバサダーの北川麻利奈さん。彼女はかつてトライアスロンの日本選手権にも出場経験があるトップアスリートだった。
「私自身、ずっとレースに出るほうだったので、今回レースを外から見ることがすごく新鮮でした。トップ選手からは気迫を、完走ギリギリの選手からは楽しさを。各選手がそれぞれのやり方でレースと向き合っていて、その数だけドラマがあるんだと思ったら、胸が熱くなりました。勇輝(大西さん)に関しては、予定の時間になっても全然来なくて心配してしまって。応援するのにもエネルギーがいる、これは本当に新しい発見でしたね」

宮古島トライアスロン大会の挑戦記

チーム発起人のPearl Izumiの清水秀和さんは語る。
「こんなにチームが力を持つものだとは、最初は全く考えていませんでした。みんなどんどんレベルアップしているし、チームの絆も強まっています。ただしストイックになりすぎるのは嫌で、FUNの要素を持ち続けることがとても大切だと思う。といってもただゆるく楽しいだけじゃなくて、ちゃんと目標をもって、そこに向かっていく楽しさ。

最終的にチームとしてどうなりたいとかは特に考えていないですが、そういう楽しさを継続していきたいなと思っています。5年後のことを具体的に考えるよりも、進んでいく過程で目標を見つける。それを乗り越えることで、また次の目標が見えてくる。この積み重ねでチームが成熟していけたら良いなと思うんです」

宮古島トライアスロン大会の挑戦記

個人スポーツであるはずのトライアスロンだが、チームとして生み出される力の大きさにPI TRIメンバーは改めて気付かされた。またいつか同じチームウエアを着て、エメラルドグリーンに輝く海へと走り出す。そんなシーンはまたきっと訪れるはずだ。

宮古島トライアスロン大会の挑戦記

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