-パールイズミ(以下PI)
1980年代に「あさひ」がプロショップを運営していたころに設立されたのが、レーシングチーム『ミネルヴァ』。
当時、チームとして各地で開催されていた数々のロードレースに参戦していたようですが、時がたつにつれ活動は一時休止されたとのこと。その後、2020年に再活動を始められたとのことですが、きっかけが何かあったのですか。

-金森様
今では「あさひ」は、ママチャリのイメージが強いと思います。昔はプロショップで、スポーツサイクルもたくさん取り扱っているようなお店でした。
そこから少し方向転換をして、いわゆるママチャリ自転車を多く取り扱うようになったのですが、それでも「あさひ」で働く従業員は自転車が大好きなスタッフも多く、個人で様々な種目のレースに参加して楽しんでいるスタッフはたくさんいました。昨今のスポーツサイクルブームのトレンドがあり、会社として「また新たにスポーツサイクルに力を入れていく」、その中で、「あさひ」の中にはそのようなスポーツサイクルが大好きで真剣に取り組んでいるスタッフがたくさんいて、レースなどで走る子もいますよということを知ってもらうために始めたという背景あります。

-PI
なるほど。実際、僕も「あさひ」のお店で子ども用の自転車を買っていますし、お店に行くと大体中に入った所には電動アシスト自転車やママチャリがメインで置いてあって、奥のほうにスポーツサイクルがあったかと思います。今回、『MiNERVA-asahi』のチーム活動を見ていたら、JBCF(日本の実業団の自転車競技団体)にも登録していて、結構本格的ですね。

-金森様
はい、本格的に取り組んでいます。今シーズンは社員23名がJBCFに登録しています。

-PI
チームの再開に際して、言い出しっぺのようなリーダーのような人がいたのですか。

-金森様
はい、私です。

-PI
あ、金森さんが言い出しっぺなのですね!最初にチーム再開の旗振りをしたのが金森さんなんですね。凄いです。

-金森様
私は「あさひ」に入社して約30年になり、「あさひ」がプロショップと呼ばれていた時代から「あさひ」で働いていました。自転車競技にはその時代から関わっていたので、その時のスポーツサイクルへの思いをまた思い出したと言うか、スポーツサイクルを世の中にもっと広めたいと思うようになりました。自転車の楽しみ方を皆様に伝えていきたいというのが「あさひ」にはありますので、今後スポーツの楽しみを伝えていくためにはどうしたら良いかとなると、あたり前の事なのですがやはり店舗のスタッフがスポーツサイクルに興味を持ち、実際にスポーツサイクルに乗り、スポーツサイクルの楽しさ、快適さを知らないと駄目だと思います。ですので、「また新たにやろう!」という感じで始まりました。
もともと先代の社長が(もちろん現社長も)、そのような意識がすごく強い方でしたので、その意志を引き継ぐ思いでやっています。

-PI
そうですか。ちなみに、金森さんが言い始める前は、バラバラでどこかのチームに所属していた人達が社内にいて、本格的に自転車を楽しんでいる人はいたけれど、まとまってしている感じではなかったということですね。

-岸谷様
はい、そこで自転車専門誌のサイクルスポーツさんが毎年開催されている全日本最速店長選手権に出ようという話が持ち上がりました。それで出るのだったら、まずは社内で誰が一番速いのかを決めようという話になり、出たい人は全員参加という形で、社内で「最速スタッフ選手権」を行いました。そこで最も速かった店長が最速店長選手権に出たのですが、その流れで、「これだけ自転車レースが好きなのであれば、皆でもう一回真剣にレース活動に取り組もう」というような感じで、『MiNERVA-asahi』が始まりました。

-PI
今活動を再開されて、先ほどお伺いした活動の目的も実現でき、すごく良いなという点は分かったのですが、やはりレースに出てみて初めて分かることもありますよね。『MiNERVA-asahi』でレースに出てみたら、良かったなというようなことはありますか。

-金森様
やはり会社に一体感が出ました。オリンピックの選手が会社にいたら、応援するために会社をあげて盛り上がってきますよね。そのような雰囲気が会社にちょっとずつ出てきたのかなということはあります。近くに選手がいるから、自分たちも頑張ってスポーツサイクルを覚えようとか、自分もスポーツサイクルに乗ってみたいと言う社員が増えたりして、会社にとってもいい影響になっていると思います。本当にすごく一体感が出てきたのではないかと思っています。
また、スタッフの中でも自転車は好きでも本格的なレースは実際に見たことがない、という人もいますがそれでも徐々にやはりレースはどうなっているのか?レース観戦に行ってみたい!と言うような声が出たり、どのようにしたらレースに勝てるのか?というような話が出たりなど、少しでも『MiNERVA-asahi』の活動について、興味を持ってもらっているのかなと思います。
例えば、チームのメンバーが働くお店で自転車競技について全然知らなかったパートナーさん(あさひではアルバイトの方をパートナーと呼びます)が、選手とレースの話をしたりするらしいです。レース前には「次のレース頑張っておいでね」と声をかけてもらっているようです。そんな声を聞くとすごくうれしいですね。

-PI
面白いですし、とても良い話ですね。では今後ですが、目指していることはありますか?

-岸谷様
まずはJBCFのエリートで総合優勝を目標にしています。いつかはチーム、個人共に総合優勝を取れれば、という話はしています。普段は全国の「あさひ」のお店で、フルタイムで働きながらトレーニングをしてレースでも成績を残すというのは大変なことだと思いますので、やり甲斐はとてもあります。

-PI
ここで、少しウェアについてもお聞かせください。現在選手の方には、エアスピードジャージエアスピード半袖ロードスーツなどを着用頂いています。これらのサイクルウェアは、弊社のなかでも競技向けの高性能、高機能のウェアです。

サイクルジャージについて言えば、素材には相当こだわっています。1つのウェアで3種類の素材を使っていて、前身ごろに採用しているメッシュ素材と背中部分に使っているメッシュ素材は、素材感が異なっていています。特に背中に使われているメッシュは、横には伸びやすくなっているのですが、縦には伸びにくくしています。これは、背中にはポケットがあるので何かしら物を入れた時に、重さで必要以上に縦に伸びないようにするためです。

また、肩部分には、弊社の独自開発の空気抵抗素材である「スピードセンサーⅡ」を使っています。これは、2021年に開催された東京オリンピックのロードレースの選手が着用したウェアで用いられている素材と一緒の素材です。

「スピードセンサーⅡ」の素材開発では、空洞実験を通して様々なデータ分析を通して開発した素材なので、競技をされる方には特に自信を持ってお薦めします。

今回、実際に大会に参加する若手の社員に金森さんが「パールイズミは良いよ」とお薦めして頂いたと聞きましたが、パールイズミのウェアの良いところを少しお聞かせください。


全盛期のころの旧ミネルヴァジャージ(パールイズミ製)

-金森様
私はパールイズミさんのウェアを約35年愛用しています。そのころからチームジャージもオーダーし、レース、イベント等で着用してきました。歴代の「ミネルヴァ」のジャージでも、もちろん採用されていました。その長い歴史?の中で、その時に合わせ常に改良され、快適さ、着心地、形を追い続けています。日本人の体形の変化、日本の気候の変化に対応し、その時々の完成形を常に作り続けてきたのがパールイズミであると思っています。 今の若い選手はほとんどの子達が「パールイズミのウェアを着た事が無いです」と言っていました。
生地の着心地の良さ、発色の良さをそんな若い選手たちに知ってほしくて、チームウエアに採用しました。なので、パールイズミさんのウェアを知らない、若い世代の人たちにはもっと着て欲しいと思っています。
実際選手に着た感想を聞くと、今までのジャージよりも着心地が良く体になじみ無駄な遊びが無いとか、ビブパンツのパット!
3D-Xのフィット感がいいようです。以前のビブでは股ずれをしていた選手が「これに変えてなくなりました!」と言っていました。

-PI
ウェアについて教えて頂き、ありがとうございます。最後にチーム活動について今年の目標などをお伺いしましたが、チーム活動に際して、他に想っていることを教えて頂けますか?

-金森様
はい、大会に出るからには勝ちたい気持ちは、もちろんあります。ただそれだけではなく「あさひ」でスポーツサイクルを楽しむスタッフが増えてきたので、スポーツサイクルの乗り方に関する教室をしてもっと基本的なことを伝えていくとか、ロードバイクだけではなく自転車の交通安全に関する啓発活動なども『MiNERVA-asahi』の活動として今後は取り組んでいきたいです。
また、自転車選手の将来やセカンドキャリアについても考えたりしています。大学でずっと競技に取り組んでいたけれど、就職するときに自転車競技を諦めている選手は意外と多い気がします。「あさひ」がチームを持つことによって、「仕事を続けながら自転車ができる会社があるんだ」「そんな環境があるんだ」と思ってもらい、選手の方の受け皿にもなれれば良いなと思っています。